2007GW企画〜10日+5日間征服−民法・親族相続

 GWは遊びたいがな〜というのが人情というものである。が、受かりたいなら、こんなまとまった期間はもったいないで。しかし、いつもと同じことをやるのもね。
 ということで、この10日(7日までかかってしまうが)親族・相続の重要条文をマスターしようっていう企画を立てました。重要条文をピックアップし、それに解説をつけ、問題を解くという勉強をします。
 たいした分量ではないので、まあ、がんばってやっていこう。
 今年受かれば来年は気兼ねなく遊べるからさ。
 
5月8日(火) 第5編 相続
(相続人の欠格事由)
第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
 
【解説】
 まだ被相続人が死亡していない段階では相続は開始していないわけで、被相続人が死亡したら相続人となる者を推定相続人という。
 ところで、推定相続人が相続人としての資格を喪失する場合がある。そのうちの1つが相続欠格、もう1つが廃除で、891条は相続欠格の規定。
 
 相続人となるべき者ではあるものの、一定の事由があった場合は相続させないことになっている。つまり法律上当然に相続権を剥奪して、相続人となる資格を失わせることにしている。これを相続欠格という。
 たとえば、カツオが波平さんを殺してしまった場合で、なおかつ逮捕されて懲役をくらってしまったとき、カツオは相続人となることができない(891条1号)。この場合ワカメちゃんが、カツオを告訴しなかった場合はワカメちゃんも相続人となることができない。こういった感じだ。
 ちなみに1号の場合、「故意に」だから過失で死亡させてしまった場合(過失致死罪)は、相続欠格にならない。また故意に殺害した場合でも、刑に処せられなかった場合も相続欠格とならない。このあたり注意な。
 
【問題】
 Aの子Bは、Aを故意で殺害し、殺人罪の容疑で逮捕された。その後起訴されたものの、証拠不十分で無罪の判決を受けた。この場合、BはAの相続人となることができない。
 
解答欄
O X
(推定相続人の廃除)
第892条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
 
【解説】
 廃除とは、相続欠格になるほどの悪さをしたわけではないものの、被相続人があいつには相続させんぞというようなことをしでかしてしまった場合にされるもの。家庭裁判所の審判または調停によって当該推定相続人の相続権を奪うことができる。つまり、相続財産を与えないようにすることができる。
 
 廃除される推定相続人は遺留分を有している者である。遺留分とは、要するに、取得することを法律上保障されている相続財産の一定の割合のこと。遺留分は、被相続人によっても奪うことはできない。絶対もらえる。たとえば、波平さんが「サザエたちはけしからんので、ワシの財産はすべてイクラちゃんが相続するものとする」という遺言をしたとしよう。この場合、フネ、サザエ、カツオ、ワカメといった相続人は自分たちの相続分の半分はキープできる。それが遺留分ということだ。
 
 ところで、廃除されるのは遺留分を有する推定相続人だけであって、その時点で最先順位にあるものである。たとえばサザエさんはタラちゃんを廃除することはできるが、波平さん・フネさん(第2順位)やカツオ、ワカメ(第3順位)を廃除することはできない。廃除する必要もない。
 
 廃除するためには一定の事由が必要である。民法が定めているのは、@被相続人を虐待したこと、A被相続人に重大な侮辱を与えたこと、Bその他著しい非行があったこと(非行の相手は被相続人には限らないというのが大勢の考え方)、である。もっとも、一時的な激情にかられての言動や被相続人にも責任がある場合には、廃除事由にあたらないこともあると解されている。深夜酔っ払って帰宅した波平さんが、寝ているカツオにしつこくからんだところ、怒ったカツオが波平さんをボコボコにしてしまったなんていう場合は微妙だよな。
 
 なお、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができるわけだが、廃除を認める調停の成立又は審判の確定により、廃除される相続人は直ちに相続権を失う。廃除の届出により相続権を失うのではないので要注意。
 
 またこの廃除請求権は一身専属権であり、被相続人本人しか行使できない。他人が代理で廃除請求するなんてことはできん。で、廃除請求するためには行為能力は不要であり、意思能力があればいい。遺言でする廃除(893条)なら遺言能力(961条)があればいい。
 
【問題】
 Aは、被相続人Bの財産について、遺留分を有する推定相続人であったが、Bに重大な侮辱を与えた。この場合、Aは当然に相続権を失う。
 
解答欄
O X
(遺言による推定相続人の廃除)
第893条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
 
【解説】
 いかに廃除をするか、廃除の方法としては生前廃除と遺言廃除がある。生前廃除とは、被相続人が生存中に家庭裁判所に調停又は審判を求める方法、遺言廃除は遺言による方法で、遺言の効力発生後、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をするもの。生前廃除は892条が規定しており、本条が遺言廃除を規定している。
 生前廃除の場合、廃除を認める調停の成立又は審判の確定により、廃除される相続人は直ちに相続権を失うが、遺言廃除の場合は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
 
【問題】
 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、その推定相続人の廃除は、廃除を家庭裁判所に請求した時にその効力を生ずる。
 
解答欄
O X
(推定相続人の廃除の取消し)
第894条 被相続人は、いつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
2 前条の規定は、推定相続人の廃除の取消しについて準用する。
 
【解説】
 一度、推定相続人を廃除しても、それを取り消すことが認められている。相続欠格とは違う。
 相続欠格は、被相続人を殺害したり、詐欺又は強迫によって被相続人に相続に関する遺言をさせたりなんで、ちょっとだめなんだが、廃除の方は、被相続人の意思とか感情が考慮されている制度だから、まあ許してやろうという場合は廃除の取消しを認めている。というわけで、被相続人は推定相続人の廃除の取消しを、いつでも、特別の理由なしに、家庭裁判所に請求できる。遺言でやってホロリとさせてもいい。
 逆に廃除された方から廃除の取消しを求めることはできない。
 
【問題】
 推定相続人が廃除された場合、被相続人および当該廃除された推定相続人は、廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
 
解答欄
O X
(相続の一般的効力)
第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
 
【解説】
 本条が定めている「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継」が相続の一般的効力で、これを包括承継という。そこで相続人を包括承継人なんていったりもする。言い換えれば被相続人の財産上の地位そのものを承継する。
 包括承継は、相続人が相続開始の事実を知っているどうかに関わらず生じる。たとえば突然弁護士から電話がかかってきて、自分が会ったこともないおじさんの財産を「あなたは相続したんですよ」なんて言ってくることも本当にありうる。調べてみたら、若い時に旅に出て何十年も音信不通になり親戚がみんな忘れていたおじさんがヨーロッパで大金持ちになっていて、(誰も知らなかったが)最近亡くなったものの相続人がいなかったとかね。亡くなった人の戸籍をたどるとすぐに分かるからさ。
 
 ただ、包括承継といっても例外がある。つまり一身に専属した権利義務などは承継しない。
 一身に専属した権利義務とは、「特に被相続人個人に着眼した法律関係で被相続人のみが帰属主体であることを性質上当然に必要とする財産上の地位」(司法協会・親族法相続法p224)である。要は相続人でなければだめなものということ。被相続人にしか帰属しえないものということ。たとえば委任契約上の権利義務とかな。委任者・受任者が死亡したら委任契約は終了してしまうだろう?
 
【問題】
 相続は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する制度であるから、被相続人の一身に専属したものであっても相続人が承継することになる。
 
解答欄
O X
(共同相続の効力)
第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
 
第899条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
 
【解説】
 相続人は、実際には数人いる場合が多い。たとえば、波平さんが死んだら、フネさん、サザエさん、カツオ、ワカメちゃんと4人もいるわけだ。マスオさんが死んだ場合だって、サザエさん、タラちゃんの2人が相続人となる。
 こういうのを共同相続というんだが、共同相続の場合、いずれは遺産分割される。遺産分割までの間は、相続財産は相続人全員の共有となる。遺産分割においては、各共同相続人の相続分に応じて配分される。
 
【問題】
 Aが死亡し、相続人としてX、Yがいた。Aの財産は甲土地、甲土地上の乙建物であるが、甲土地、乙建物は、XYの共有となる。
 
解答欄
O X
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