2007GW企画〜10日+5日間征服−民法・親族相続
GWは遊びたいがな〜というのが人情というものである。が、受かりたいなら、こんなまとまった期間はもったいないで。しかし、いつもと同じことをやるのもね。
ということで、この10日(7日までかかってしまうが)親族・相続の重要条文をマスターしようっていう企画を立てました。重要条文をピックアップし、それに解説をつけ、問題を解くという勉強をします。
たいした分量ではないので、まあ、がんばってやっていこう。
今年受かれば来年は気兼ねなく遊べるからさ。
5月10日(木) 第5編 相続
第4章 相続の承認及び放棄
【解説】
相続っていうのは、死亡によって開始し(882条)、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するわけで(896条)、つまり相続の効果は相続人の意思とは無関係に当然に相続人に帰属する。30年前に音信が途絶えたおじさんが最近亡くなり、調べてみたら、あんたが唯一の相続人だからと莫大な遺産を承継するというのならいいが、相続は借金も承継することになるわけで、借金ばかりだったら迷惑だろ?
つまり、相続によって承継されるものには、現金や土地などのプラスの財産(積極財産ともいう)ばかりでなく、借金などのマイナスの財産(消極財産)も含まれるわけで、被相続人が死んだからといって、自動的に承継するなんていうのは困る。
そこで、相続が開始されても、相続人は、@無条件に承認、Aプラスの財産がマイナスの財産より多いか、せめて同じなら承認、B一切承継しない、つまり放棄、のいずれかを選択できる。@を単純承認、Aを限定承認、Bを相続放棄という。
第1節 総則
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
【解説】
相続の承認又は放棄をすべき期間を定める規定。この期間のことを考慮期間とか熟慮期間とかいう。で、「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、…しなければならない」とされているが、むしろ、3ヶ月間の猶予が与えられていると感じかな。
もし、相続人が考慮期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされてしまう(921条2号)
さて、3ヶ月の考慮期間については、その起算点が重要だ。3ヶ月を1日でもオーバーしたらもう限定承認や相続放棄はできないからね。そこでいつが起算点になるかが争われているが、判例は、自己のために相続の開始があったことを知った時を次のように述べた。
@原則として、相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算
A例外として、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算
…相続人が、右各事実を知った場合であっても、右各事実を知った時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべき
共同相続人が数人あるとき、熟慮期間は各相続人ごとに進行する。
限定承認又は相続の放棄の取消しは、その旨を家庭裁判所に申述することによって行う(919条4項)。
【問題】
被相続人Aには妻X、子Y・Zがいたが、平成19年2月1日に死亡した。その後、X・Y・Zが遺品の整理をしている時、Aには多額の負債があったことが判明した。そのため、X・Yは同年4月2日に相続放棄をしたが、Zは5月10日になってから相続放棄をした。この場合、X・Y・ZはAの負債を返済しなければならない。
解答欄
O
X
(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第919条 相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。
2 前項の規定は、第1編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
3 前項の取消権は、追認をすることができる時から6箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。
4 第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
【解説】
相続の承認(単純承認・限定承認)や相続放棄を一度したら、撤回できないという怖い規定。つまり一度単純承認しておきながら、特別の理由なく、やっぱやーめたといってもダメということ。承認してから借金が見つかったなんて理由ではダメ。だからよーく調査をしておかんとな。915条2項にもわざわざ「相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる」などと規定していることだし。
とはいえ、未成年者が法定代理人の同意なしに単純承認したとか、詐欺や強迫によって放棄させられとかといった場合は、一度した承認や放棄を取り消すことができる。まあ、こういう場合はしゃーないわな。死んだお父さんが借金してた人に、「おにいさん、承認してくれるよな」とすごまれて、裁判所に行けなかったので放棄できなかったという場合なんかね。
【問題】
相続の承認及び放棄は原則として撤回することはできないが、考慮期間内であれば、撤回することは可能である。また民法の総則編および親族編によれば、考慮期間内に限り、相続の承認又は放棄を取り消すことができる。
解答欄
O
X
第2節 相続の承認
第1款 単純承認
(法定単純承認)
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
【解説】
単純承認というのは、被相続人の権利義務を無制限・無条件に承継することを内容として承認することである。要は、一切合財引き継ぐということだ。限定承認や相続放棄をするには家庭裁判所に申述するという手続が必要だが、単純承認は特に手続はいらない。黙っていれば単純承認したことになってしまう。または単純承認をしたことを前提とする行為をしたときな。相続財産と相続人自身の財産が混じってしまってから限定承認や放棄をされたりすると、被相続人の債権者や、自分は相続しないと思っていた後順位の相続人が困るからな。「聞いてないよ〜」ってことだ。
【問題】
被相続人Aには妻X、子Y・Zがいたが、平成19年2月1日に死亡した。その後、X・Y・Zが遺品の整理をしている時、Aには多額の負債があったことが判明した。そのため、X・Yは同年4月2日に相続放棄をしたが、Zは特に何もしなかった。この場合、X・Yは乙の負債を返済する必要はないが、ZはAの負債を返済しなければならない。
解答欄
O
X
第2款 限定承認
(共同相続人の限定承認)
第923条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
【解説】
昔、相続法の先生が、借金取りは死んでから3ヶ月経ってからくるんですよ、と言ってた。「だから、あんたがた、特に借金は3ヶ月の間によく調べておかないと怖いですよ、本当は限定承認しとかなきゃだめですよ、どこにどんな借金があるか分かりませんから」、とも。
限定承認とは、相続人が一応相続を承認はするが、限定をつける場合である。
どういう限定かというと、相続人のマイナス財産はプラス財産の範囲内で弁済しますというもの。要するに相続したものの中だけで清算しますということだ。
単純承認して、マイナス財産の方が大きければ、相続人は自分の財産を持ち出して借金を返さなくてはならないんだが、それは困るだろ?僕はお父さんの借金は自分の財産からでもきちんと返しますというのもそれはそれで素晴らしいことだが、親子といえども別人格だし、債権者が犠牲になるが、債権者は被相続人の財産を引き当てとして取引したはずだから、まあ仕方ないともいえるからな。
ただ、限定承認は、プラスの財産の範囲内で弁済するものだから、プラスの財産の範囲を確定しなければならん。そのため財産目録を作らなければならんとか、清算手続を行ったりとか、手続がちょっと面倒だが、もしプラスの財産があまったら、それはもらえるからな。もし、何も残りそうもなければ相続放棄をすればいいというこった。
なお、限定承認の重要な事項として、相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してやらなければならんということ。各自が限定承認をするのは清算手続が面倒になるからな。ただし、1人が相続放棄するのはよい。というのは相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになるから(939条)。残りの全員で共同して限定承認をすることができる。
【問題】
被相続人Aには妻X、子Y・Zがいた。Aの死亡後、X・Y・Zが遺品の整理をしている時、Aには負債があったことが判明したが、Aの銀行預金及び土地・建物を換価すれば全額返済でき、返済後でも多少は残る可能性があった。そのためX・Y・Zは相談の上、母であるXには相続放棄させ、Y・Zが限定承認をすることにし、清算手続をとることに決めた。このようにY・Zだけでする限定承認は可能である。
解答欄
O
X
第3節 相続の放棄
(相続の放棄の方式)
第938条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(相続の放棄の効力)
第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
【解説】
相続放棄をするには、限定承認と同様、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。そして相続放棄をした場合は相続開始の時から相続人とならかったものと扱われる。相続放棄の効力がいつから生じるのかは、物権変動のところで重要になってくるから、要注意な。
【問題】
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、相続放棄を家庭裁判所に申述した時から相続人とならなかったものとみなされる。
解答欄
O
X
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