バックナンバー(特別編〜会社法演習)

設立
  第1問 定款(絶対的記載事項)
  第2問 定款(相対的記載事項1)
  第3問 定款(相対的記載事項2)
  第4問 定款(相対的記載事項3)
  第5問 株式発行事項の決定
  第6問 発起設立と募集設立
  第7問 会社の成立
  第8問 設立無効1
  第9問 設立無効2
  第10問 設立の瑕疵
  第11問 会社の不成立

 
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設立
会社法第1問 定款の絶対的記載事項
 株式会社を設立するには、まず定款(会社の根本規則)を作成することが必要です(26条1項)。
 では、定款にはどのような事項を記載するのでしょうか(電磁的記録での作成も可能です。その場合は記載ではなく、「記録」です)。
 
 定款の記載事項には、3つの種類があります。
1 絶対的記載事項(27条)
 必ず記載しなければならない事項で、記載がなければ定款自体が無効となります。
2 相対的記載事項(28条)
 記載してもしなくてもいいが、記載しておけば効力が認められる事項。具体的にどういう事項かは会社法上特定されている。
3 任意的記載事項(29条)
 定款外で定めても効力が認められる事項だが、会社法の規定に反しない限り、定款に記載「できる」事項。定款で定めておくと、その事項を変更する際、定款変更手続を経なければならないという縛りをかけることができる。
 
 上記のうち絶対的記載事項としては、次の事項を記載しなければなりません(27条)。
1 目的
2 商号
3 本店の所在地
4 設立に際して出資される財産の価額または最低額
5 発起人の氏名または名称および住所
6 発行可能株式総数(37条)
 
 定款を作成したら、公証人の認証を受けなければなりませんが(30条)、上記6は認証の時までに定めておく必要はありません。つまり、発行可能株式総数を記載していなくても公証人の認証を受けることができます。
 
 ただし、会社が成立する時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければなりません。設立過程における株式の引受の状況などをにらみながら、設立手続の完了時までに発起人全員の同意によって定款を変更して発行可能株式総数の定めを設ければよいというわけです(30条1項)。
 
では、問題です。
 
 株式会社が発行することのできる株式の総数は,会社成立時までには定款に定めておかなければならない(新司法試験H18)。
 
解答欄
O X

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会社法第2問 定款の相対的記載事項1
 定款の記載事項には、絶対的記載事項(27条)、相対的記載事項(28条)、任意的記載事項(29条)があります。このうち相対的記載事項は、記載してもしなくてもいいが、記載しておけば効力が認められる事項です。
 具体的にどういう事項かは会社法上特定されています。28条の他、107条2項、123条等、会社法のあちこちに規定されています。
 
 このうち、設立に関しての一般的な事項を定めているのは28条です(同条に規定されている事項は変態設立事項などとよばれています)。
 
 変態設立事項は、次の事項です。
@ 現物出資
 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。)
A 財産引受け
 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
B 発起人の報酬・特別利益
 株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
C 設立費用
 株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)
 
 変態設立事項は、会社の財産的基礎を危うくするおそれのある事項ばかりであるため、定款に記載しなければ効力を生じず(28条)、さらに、原則として、裁判所が選任する検査役の調査を受けなければなりません(33条)。
 
 では、これらの手続に違反した場合はどうなるのでしょう。
 かつて、法の手続きを踏んでいない財産引受けについて、後にそれを承認する特別決議をすれば有効にならないかが問題となりましたが、判例(最判昭和28.12.3)は、次のように述べ、有効とはならないとしました。
「…いわゆる財産引受けは現物出資に関する規定をくぐる手段として利用せられる弊があつたので、これを防ぐため現物出資と同様な厳重な規定を設け、公証人の認証を受けた定款にこれを記載しないと財産引受の効力を有しないものと定められたのである。」「…財産引受が定款上無効なる場合と雖も、会社成立後に新に…特別決議の手続をふんで財産取得の契約を有効に結ぶことは可能であるが、…単に会社側だけで無効な財産引受契約を承認する特別決議をしても、…これによつて瑕疵が治癒され無効な財産引受契約が有効となるものとは認めることができない」。
 要は、変態設立事項の1つである財産引受けについて、法の手続きを踏むことを強く要求する考え方だといえるでしょう。それが条文にかなっていますし、また会社の財産的基礎をしっかり作ることにつながります。もしやるなら、新たに特別の決議を踏んで財産取得の契約を結べばよいということです。
 
そこで、問題。
 
 判例によれば,定款に定めのない財産引受けは,たとえ会社成立後,株主総会が特別決議をもってこれを承認しても,有効にはならない(新司法試験H18第39問)。

 
解答欄
O X

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会社法第3問 定款の相対的記載事項2
 定款の相対的記載事項には、設立に関する変態設立事項があります。そして変態設立事項としてあげられているのは、@現物出資、A財産引受け、B発起人の報酬・特別利益、C設立費用です(28条)。
 
 このうち、現物出資とは、金銭以外の財産をもってする出資のことをいいます(28条1号)。通常は金銭で出資しますが、土地や建物で出資したり、特許権などの知的財産権で出資することも認められています。
 
 ただし、現物出資をした者はそれによって株式を取得するのですから、現物出資の目的物の価格が過大に評価されると他の出資者との関係で不公平になりますし、何より会社財産の確保の点で問題が出てきます(出資→会社財産ですから、現物出資の目的物が過大に評価されると会社財産が実際よりも多くあることになってしまい、会社と取引した債権者を保護できないおそれがあります)。たとえば、100万円の価値しかない物を1,000万円と評価し、それを現物出資した者に1,000万円分の株式を取得させてしまったら、現金100万円を出資した者は100万円分の株式しか取得できないのですから明らかに不公平ですし、会社も本来は100万円の財産しか計上できないのに、1,000万円として計上してしまったら、差引900万円の財産が確保できていないということになってしまいます(会社債権者が困るということになります)。
 
 そこで、現物出資の目的物がきちんと評価されるよう変態設立事項として定款で定め、原則として裁判所が選任した検査役の調査を受けるという手続を経なければならないこととされました(28条、33条)。
 
 もっとも、現物出資について必ずしも検査役の調査を経なければならないということはありません。例外が設けられています。というのも実際のところ、裁判所が選任した検査役の調査は長期間要しますし、多額の費用もかかりますから、過大評価の危険がなければ(仮に過大評価されても、額が小さければ)、何も裁判所が選任した検査役の調査を受けなければならないということはないのです。
 
 具体的には、33条10項が定めています。
@ 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額の総額が500万円を超えない場合
 …500万円以下では重要性が低く、おおげさな手続をとるほどのことはない。
A 現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券について定款に記載され、又は記録された価額が当該有価証券の市場価格を超えない場合
 …市場価格があれば、過大評価の危険が少ない。
B 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士(外国公認会計士を含む。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明を受けた場合。ただし、現物出資財産等が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価を受ける。
 …弁護士等による証明・鑑定評価については公正性が認められる。
 
 そこで、問題。  現物出資財産が不動産であるときは,価額の相当性に関する弁護士の証明と不動産鑑定士の鑑定評価があれば,検査役の調査は不要である。
 
解答欄
O X

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会社法第4問 定款の相対的記載事項3
 変態設立事項である現物出資については、原則として裁判所が選任した検査役による調査が必要ですが、現物出資財産等について定款に記載(記録)された価額が相当であることについて、弁護士、弁護士法人、公認会計士(外国公認会計士を含む。)、監査法人、税理士又は税理士法人の証明を受けた場合には、裁判所選任の検査役の調査を受ける必要はありません。
 
 このような場合は証明・鑑定評価について公正性が認められるからですが、その反面、現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額(定款の変更があった場合にあっては、変更後の価額)に著しく不足するときは、その不足額を支払う義務を負います。ただし、証明をするについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、不足額を支払う義務を負いません(52条)。
 
で、問題。
 
 現物出資財産の価額の相当性について証明をした弁護士は,無過失であったことを証明すれば,不足額のてん補責任を免れる。(新司法試験H18第39問)
 
解答欄
O X

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会社法第5問 株式発行事項の決定
 株式会社を設立するにあたっては、設立に際に発行される株式(設立時発行株式)について、一定の事項を定めなければなりません。
 そのうち、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額は定款の絶対的記載事項ですから(27条4号)、必ず定款で定めなければなりません。
 しかし、それ以外は、必ずしも定款で定める必要はありません(定款で定めることもできます。)。そして、定款で定めない場合は、どのように定めるかが事項により異なります。
 
 次の事項を定めるときには、発起人全員の同意が必要です(32条1項)。
@ 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
A 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
B 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
 
 これら以外の事項は、発起人の多数決で定めます。
 
では、問題。
 
 成立後の会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項について、定款で定めていないときは、発起人全員の同意によって、これを定めなければならない。(司法書士第32問)
 
解答欄
O X

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会社法第6問 発起設立と募集設立
 ひとえに株式会社の設立といっても、設立には発起設立と募集設立の2種類の方法があります(25条1項)。
 
 発起設立とは、発起人(会社の設立を企画し、設立手続を進めていく者。定款に署名または記名押印をしていることが必要。資格に制限はなく、したがって法人や外国人、制限行為能力者でもOKです。)が、設立時発行株式を全部引き受ける方法です(25条1項1号)。  株式を引き受けるということは、会社に対し出資するということですから、発起設立とは、要するに自分(達)で必要なお金を全部出して事業をやっていこうという場合です。
 
 これに対し、募集設立は発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法です(25条1項2号)。つまり、募集設立は、会社に出資してくれる人を集めて、そのお金で事業をやっていこうという場合です。
 
で、問題。
 
 すべての発起人は、それぞれ設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。(司法書士第32問)
 
解答欄
O X

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会社法第7問 会社の成立
 会社の設立としては、定款の作成、設立時発行株式に関する事項の決定、株式の引受け、出資の履行、創立総会(募集設立の場合)などを経て、最後の段階では、設立の登記をします。そして、設立の登記により株式会社は成立します(49条)。  会社が成立すると、会社は法人格を取得し、出資を履行した発起人および設立時に募集した株式の引受人は、はれて株主となります。
 
で、問題。
 
 発起人であると発起人以外の株式引受人であるとを問わず,それらの者が株主となるのは,その払込みをした時である。(新司法試験H18第39問)
 
解答欄
O X

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会社法第8問 設立無効1
 株式会社は一定の設立手続を経て成立しますが、その設立手続に瑕疵があった場合(法定の要件を欠く場合)は、本来、設立は無効です。
 
 しかし会社は、成立すると直ちに対外的な活動を始めます(設立が無効だとしても事実上活動を始めます)から、会社の内外で多数の法律関係が生じてしまいます。それにも関わらず、無制限に無効を認めると、法律関係が混乱し、取引の安全も害されます。そのため、設立はあまり無効にしたくないという要請が働きます。また多数生じてしまった法律関係は画一的に確定する必要がありますし、遡って無効とされるのも困ります。
 
 そこで、会社法は設立無効は訴えによらなければ主張できないものとしつつ(828条1項1号)、設立無効の訴えの提起について制限を加えています。、それが設立無効の訴えの制度です。
 
 本来無効は誰でも主張できるものですが、設立無効の訴えにおいては、訴えを提起できる者は限定されています。  すなわち、設立無効の訴えを提起できるのは、株主、取締役、監査役、執行役、清算人だけです(828条2項1号)。
 
 また訴えを提起できる期間についても、本来ならば、いつでも提起できるはずですが、設立無効の訴えは、会社成立の日から2年以内に限られています(828条1項1号)。
 
 設立無効原因は、定款に絶対的記載事項(27条)が記載されていない、定款について公証人の認証(30条1項)を欠いている、設立時発行株式等に関する一定の事項の決定につき発起人全員の同意(32条2項)がないこと等の設立における行為が強行法規又は会社の本質に反する場合です。客観的な無効原因といえます。
 これに対し、個々の株式の引受けが無効といったような、主観的な原因(個人的な原因)に基づく場合は設立無効原因とはなりません。ある人の株式の引受けが無効、あるいは取り消されたとしても、それは単にその人が株主にならないというだけのことです。株式会社は誰が株主になっても構わないのですから、主観的な原因は設立無効原因とはなりません。たとえば、未成年者が株式を引き受けた場合、未成年者本人やその法定代理人は株式の引受けを取り消すことができますが、だからといって、会社の設立が直ちに無効とはなるのではありません。
 もっとも、未成年者が株式の引受けを取り消した結果、定款で定めた設立時の出資価額を超えないこととなった場合は別です。
 
そこで、問題。
 
 設立後に発起人でない株式引受人が未成年者を理由に引受けを取り消しても、他の株主の出資額が定款で定めた設立時の出資価額を超えていれば、設立無効事由とはならない。(公認会計士試験H18問題4)
 
解答欄
O X

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会社法第9問 設立無効2
 設立無効の訴えの原告が勝訴し、設立無効の判決が確定すると、その判決は、第三者に対してもその効力を有します(838条、対世効といいます)。判決確定までに会社内外において生じた多数の法律関係を画一的に確定するためです。またこの設立無効判決の効力は将来に向かって生じます(839条)。つまり、遡及効はありません。さらに設立無効の判決が確定すると、会社を清算しなければなりません(475条2項)。
 
では、問題。
 
 会社の設立を無効とする判決は、設立時に遡って効力を生じる。(公認会計士試験H18問題4)
 
解答欄
O X

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会社法第10問 設立の瑕疵
 会社を設立するには、会社法が定めた手続を経る必要があります。もし、その手続を定められたとおりに経なければ、会社の設立が認められません。
 
 ところで、会社の設立については、次のようなケースが考えられます。 1 手続は進められたが、設立の登記にまで至らなかった場合 2 設立の登記までなされたが、そもそも実体がなかったような場合 3 設立登記までなされたが、無効原因がある場合
 
 1の場合は、会社は不成立、2は会社は不存在です。3の場合は、設立無効の訴えを提起します。
 
 なお、持分会社(合名会社、合資会社、合同会社の3つの類型の会社をまとめて持分会社といいます(575条)。これらの会社では、社員の法律上の地位を持分といいます。)の場合は、設立取消しの訴えも認められています。
 
 この持分会社の設立の取消しの訴えは、
@ 社員が民法その他の法律の規定により設立に係る意思表示を取り消すことができるときに当該社員が、
A 社員がその債権者を害することを知って持分会社を設立したときに当該債権者が、
持分会社の成立の日から2年以内に、提起する訴えです(832条)。

 
 設立取消しの訴えは、社員の個性(=誰が社員か)を重視する持分会社についてのみ認められ、株式会社については認められていません。
 
では、問題。
 
 株式会社の設立に関し、発起人がその債権者を害することを知りながら現物出資を行った場合、会社成立後に、その債権者は設立取消の訴えを提起することができる。(公認会計士試験H18問題4)
 
解答欄
O X

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会社法第11問 会社の不成立
 会社の設立に向けて手続は開始されたものの、何らかの理由で設立の登記に至らなかった場合、会社は不成立となります。
 たとえば、「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」(27条4項)に相当する財産の払込みもしくは給付がなく、設立が挫折した場合」(弥永・リーガルマインド会社法p310)などです。
 設立無効の場合と異なり、訴えによらなければならないというような制限はなく、いつでも誰でも主張することができます。
 
 会社が不成立の場合、問題は株式会社の設立に関してした行為についての責任がどうなるかですが、会社法56条は、その責任は発起人が連帯して負い、設立に関して支出した費用を負担するとしています。すなわち「会社不成立の場合には設立中の会社が目的の不到達により解散したものと認められるから、本来ならば清算して残余財産を構成員に分配すべきであるが、設立時募集株式の引受人に損害を与えないようにするために」「設立中の会社の機関である発起人に全責任を負わせたもの」(弥永・リーガルマインド会社法p313)です。
 
では、問題。
 
 株式会社の設立に関し、発起人は会社が不成立となった場合、設立に関して支出した費用を負担する。(公認会計士試験H18問題4)
 
解答欄
O X

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